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0知識から「シリア内戦」をわかりやすくまとめる

混迷を極めるシリア内戦。
シリア内戦のこれまで経過と背景をわかりやすくまとめ。

シリアでは現在もアサド政権反アサド政権の内戦が継続中。
政権を巡る争いが大勢の犠牲者(一般市民)を出しています。

シリア国内の情勢は常時不安定。
世界で最も危険な地帯の一つです。
シリア全土でレベル4の退避勧告が発令。

0知識からシリア内戦まとめ
  • シリア内戦の構図
    →アサド政権vs反政権
    →シリア内戦の構図
  • 内戦の始まり
    →アラブの春~イスラム国の台頭
  • 現在の情勢
    →化学兵器と今後の展開
    →米軍撤退とクルド人勢力の台頭

 

今回の記事ではまず、シリア内戦の大枠の構図。
次に、アラブの春~イスラム国の台頭&衰退の一連の流れ。
最後に、現在の不安定なシリア情勢に言及します。

現在、シリアではトルコとクルドの衝突が激化しています。
新たなフェーズへ入っています。

内戦は終息する気配がありません。
それでは、シリア内戦を勉強していきましょう。

 

 

シリア内戦の構図

シリア内戦枠組み

対立1 アサド政権 vs 反政府軍

2019年10月現在、シリア内戦は未だ終結を迎えていません。
シリア内戦のメイン構図は「アサド政権 vs 反アサド政権」です。

内戦は9年目を迎え、シリア国内は疲弊しきっています。
美しき世界遺産の国は瓦礫の山へと変わりました。

シリアにおける対立
シリア政府であるアサド大統領の政権側
アサド政権を打倒を企てる反政権側

 

シリア内戦の構図は政権を巡る勢力争いだけではありません。
シリアではそれぞれ思惑を抱える国や組織が介入しています。

各々の組織が複雑に絡み合い、出口が見えない混乱状態に陥っています。

シリア内戦の問題
  • スンニとシーアの宗派対立
  • 米露の中東利権
  • イランの核開発問題
  • イスラム圏の勢力争い
  • トルコvsクルドの民族争い

シリア内戦はアサド政権反アサド政権の政権争いだけではありません。
多方面での代理戦争が展開されています。

代理戦争の背景を1つずつ整理しないとシリア内戦の全体像は見えません。

シリア内戦は複雑な構造が絡み合います。
シリアにおける一義的な解決はかなり厳しいレベルまで来ています。

対立2 イランvsサウジアラビア

シリア内戦の前提にはイスラム圏の宗派争いがあります。
中東のイスラム圏では大きく「シーア派vsスンニ派」に二分されています。

シリアでは国民の大多数がスンニ派を信仰しています。
しかし、アサド政権はイスラム教アラウィー派を信仰する人物が多く、政権はシーア派を支持しています。

国民はスンニ派、政権はシーア派です。
宗教的派閥争い(中東の分断)がシリア内戦の背景の1つです。

シリアにおける対立2
シーア派スンニ派
イスラム圏の宗教的対立が背景

 

イラン(アサド政権)

シリア政府はシーア派を擁護
スンニ派を否定


シリア政府はシーア派の代表国イランと親密関係

シリア政府とイランはどちらも反米、反サウジ、反スンニ派で結託

 

 

アサド政権はイランの後ろ盾に頼る
アサド政権は独裁政権維持が目標

 

 

イランロシアにすがり権力の座を保証してもらう

イランの裏にはロシアが構えている

サウジ(反政権側)

中東の大国であるサウジアラビアスンニ派
サウジアラビアは古くからアメリカと親密

 

シリア国民はサウジと同じ、スンニ派の教徒が多数
サウジはスンニ派で結成される反政府軍を援助

 

サウジはアサド政権の打倒を願う
サウジはシリアに新たなスンニ派政権の発足を狙う

 

アメリカもサウジと同調
親米国家の誕生を狙い反政府軍を支援

▽中東の勢力争いに関して詳しい記事はこちら▽

中東陣営 【中東情勢】中東の宗教対立と民族対立をまとめ

 

対立3 ロシア vs アメリカ

シリアでは「ロシア vs アメリカ」という米ソ対立も背景にあります。
米ソはどちらも中東の資源と地政学的利権を得よう躍起。

ロシアの思惑

ロシアは中東諸国での権威統治(独裁政権)を支持。
アラブの春に端を発する中東の民主主義運動は大反対です。

特に蜜月関係のイランが親米国家になれば最悪。
アメリカがイランを抑えれば、中東におけるロシアは完全に試合終了。

イランの親米路線が実現すればロシアは完全に中東の利権争いから締め出されます。
→イランの親米現実路線ではない

シリアに積極介入

ロシアは中東での影響力保持のため、シリア問題に介入します。
イランの民主化を防ぐため、前段階でシリア政府(アサド政権)を後押し。

ロシアはアサド政権が化学兵器を使用してもお構いなしです。
化学兵器の犠牲者が一般市民でもお咎めなし(見逃し)。

ロシアとしては、諸悪の根源は反政府軍だと主張します。
民主主義の芽を摘むためには手段を選びません。

ロシア最悪のシナリオ
盟友イランが親米国家になる

 

アメリカの思惑

戦後、アメリカは中東介入に積極的。
アメリカの中東政策におけるアキレス腱が「イラン」です。

イランは中東における反米の象徴役割を果たしています。
イランの核開発における脅威はアメリカの中東における最重要問題。

アメリカの狙いは「イランの弱体化」及び「核脅威の排除」。
アメリカはイランと密接なシリアに介入して、間接的にイランの弱体化を狙います。

ただ、イランと手を結ぶロシアと揉めるのは最悪の展開。
揉めるのは嫌だが、シリアにおける利益も無視できません。

アメリカはシリア内親米の反政府軍を援助します。
「イランやロシアと揉めずに、親米国家誕生の利益にありつきたい」というものです。

大義名分を得たアメリカ

アメリカのシリアにおける立ち回りは、とても難しい局面。
反体制派を影で操り、自国は直接的に介入しない戦術。

イスラム国が台頭したことでアメリカはシリア介入への大義名分を得ました。
イスラム国殲滅に向けて米軍のシリア派兵は成功します。

2018年4月、イスラム国が壊滅しアメリカはシリア駐留の名分を失います。
ですが、またもや、ここでシリア介入への大義名分を得ます。

次の大義名分は「アサド政権が化学兵器を使用した」という情報です。
シリアでの軍事介入が難しい米軍は「化学兵器使用」という大義名分で再度シリアへ介入します。

 

対立4 クルド vs トルコ

現在のシリアで一番鍵を握る争いが「クルドとトルコ」による対立です。
クルド人国家建国を目指すクルドとクルド国家建国を認めないトルコの争い。

クルドとトルコは歴史的に長らく対立しています。
シリアにてクルド人勢力がイスラム国掃討に尽力しました。

クルド人勢力はイスラム国から奪還した領土を軸に建国を進めています。

「ロジャヴァ」という自治区をシリア北東部に設置して、クルド人民防衛隊が自治区を防衛しています。

このロジャヴァの台頭を良く思わないのがトルコ政府です。
長らくクルド人勢力による建国を否定してきました。

トルコ政府はなんとしてもロジャヴァ(クルド)を潰したい思惑があります。

 

ロジャヴァ(クルド)

ロジャヴァはイスラム国が猛威を奮っていた時に、台頭します。
ロジャヴァはイスラム国の鎮圧部隊として活躍。

イスラム国掃討作戦の前面に立ち、アメリカから軍事支援を受けます。
イスラム国の壊滅後、クルド人勢力は奪還した領土に「ロジャヴァ」を設置。

米軍のシリア撤退後は、アサド政権に接近したりと足元はぐらついています。
トルコの武力行使もあり、今後の自治権維持は難航が予想されます。

 

トルコ

トルコは長らくアメリカと蜜月関係を築きます。
シリア内戦において同盟国アメリカと距離を置きます。

トルコは名目上「アサド政権の打倒」という形でシリア内戦に介入しています。

ただ、アサド政権との実質的な戦闘は回避。
トルコのシリア介入の目的はロジャヴァの壊滅です。

アサド政権と揉めずに、ロジャヴァを叩くことが目標です。
アメリカの抑止を振り切りロシャヴァと交戦を始めました。

シリア内戦のこれまでの流れ

フェーズ1 シリア内戦の始まり

シリア内戦はアラブの春を発端として始まります。
アラブの春がシリアにも到来し、民主化運動へ発展。

民主化運動は熱を帯び反アサド政権が武装蜂起。
アサド政権がデモ鎮圧に軍隊を用いて内戦化します。

アメリカ、ロシア、サウジ、イランがシリア内戦に介入します。
民主化運動デモから中東世界の覇権を巡る内戦へ繋がります。

 

フェーズ2 イスラム国の到来

内戦はシリア全土に広がります。

荒廃したシリアでは第三の勢力が台頭します。
その勢力がイスラム国。

イスラム国はアサド政権と反アサド政権が争い疲弊した土地を占領します。
無法地帯だった戦場を我が物にしてしまいます。

シリア内戦勃発から4年後、三つ巴状態が誕生します。

 

フェーズ3 クルド人勢力の台頭

シリアを占領したイスラム国は各国の標的になります。
政権を巡る争いは一先ず収まり、イスラム国叩きが優先されます。

2019年現在では、イスラム国はほぼ掃討されています。
イスラム国掃討に尽力したのがクルド人勢力でした。

シリアにも根付くクルド人がイスラム国から領土を奪還。
クルド人は自らが奪還した領土に自治領を設立します。

収まっていた政権を巡る内戦も再び、始動します。

シリアではクルド人勢力を加えた新たな三つ巴が生まれます。

 

発端はアラブの春

ジャスミン革命

シリア内戦の種火となったのが「ジャスミン革命」。
2010年12月、北アフリカのチュニジアでジャスミン革命が起きます。

ジャスミン革命は23年に及ぶ独裁政権を築いたベン=アリー大統領を糾弾するものでした。

チュニジアで起こった民主化運動の波が中東諸国へ波及。
アサド政権が独裁を敷く、シリアにも民主化運動の波が到来しました。

 

ジャスミン革命とは

ジャスミン革命が起き、民主化運動が勃発したチュニジア。
国民は長年に渡り、独裁政権へ不信感を抱きます。

ある時、アリー独裁政権へ抵抗を示す事件が起きます。
1人の青年が焼身自殺を遂げて命を落とします。

自殺を禁じるイスラム圏において、この焼身自殺が大変な波紋を呼びました。

青年の自殺映像はネットを通じて、チュニジア全土へ配信されます

チュニジア国民は、青年の命を懸けた抵抗に呼応します。
焼身自殺の後、チュニジア各地で民主化を求める運動が勃発。

民主化運動は次第にエスカレートして、「独裁政権を倒そう」という暴動へと繋がります。

チュニジア全土で政府に対する暴動が起き、ベン=アリー大統領は国外追放。
20年間以上続いた独裁政権が崩壊しました。

1人の青年の行動が国家を転覆する革命に繋がります。

 

アラブの春へ

チュニジアで起きた民主化の波は、近隣アラブ諸国へ波及します。
中東諸国はほとんどが長期政権を築く独裁政権でした。

チュニジアの民衆運動をみた近隣アラブの国々。
「次は自分たちの国も!」と次々に民主化運動に乗り出します。

アラブの大国エジプトでは30年続いたムバーラク独裁政権が崩壊。
リビアでは42年間にも及ぶカダフィ独裁政権が崩壊。

その他の中東諸国でも独裁政権を批判する運動が盛んになります。
サウジアラビア、アルジェリア、モロッコ、 イラクなどで運動が起きます。

 

シリア内戦の始まり

さて、やっと本題のシリアに入ります。
中東諸国で巻き起こった民主化運動、アラブの春。

民主化運動はアラブ圏に位置するシリアにも波及しました。

シリアはアサド大統領の独裁政権下に統治されています。
アサド政権は彼の父が1971年に国を治めてから、親子で40年近く独裁政権を続けていました。

シリア国民は社会経済の不満をアサド独裁政権にぶつけます。
その運動を担うのは、政権から虐げられていた多数のスンニ派庶民です。

スンニ派の抗議運動が徐々にシリア国内全土に広がります。
結果「シーア派主体のアサド政権 vs スンニ派主体の反政府軍」によるシリア内戦が勃発します。

 

イスラム過激派の内戦激化

シーア派主体のアサド政権」vs「 スンニ派主体の反政府軍 」により始まったシリア内戦。
当初は民主化求めるデモ運動でした。

しかし、反政府側が近隣国から支援を受けて徐々に武装蜂起をします。
ついには「自由シリア軍」という武装集団を結成。

自由シリア軍は欧米から潤沢な武器提供を受けます。
次第に、自由シリア軍はアサド政権との闘いを激しく展開。

自由シリア軍は数々の武功を挙げて、シリア民主化の機運は高まります。

 

ヌスラ戦線の結成

自由シリア軍は着実にシリア国内で勢力を拡大させます。
成長過程の自由シリア軍内では、武闘派の急先鋒になっていた人たちが独立します。

「俺たちの力でもっと過激に政権を崩壊させようぜ!」という主張です。
自由シリア軍から独立を果たした人たちで結成されたのが「ヌスラ戦線」という過激派組織です。

 

過激派組織の台頭

ヌスラ戦線は反アサド政権側です。
「政権を倒し、新国家の建国」を目標としたスンニ派のイスラム過激派組織です。

ヌスラ戦線の立ち位置
反政府軍側
イスラム主導の立場、親米集団ではない

自由シリア軍とヌスラ戦線が台頭したことで、アサド政権は壊滅的な被害を受けます。

 

アサド政権の反撃

反政権側にやられ放題のアサド政権を見て、ロシア・イランの後ろ盾が黙ってはいません。

さらにはシーア派の過激派組織「ヒズボラ」も参戦します。
各陣営に過激派組織が台頭したことにより、シリアの戦況は激化します。

過激派組織の台頭がシリア国内を混乱に落とし込みます。

民主化の波で始まったデモ運動が、諸外国やイスラム過激派を巻き込みます。
そして、大規模な内戦へと展開していきます。

 

第3の勢力、イスラム国(イスラム国)

イスラム国の脅威

シーア派主体のアサド政権」vs「 スンニ派主体の反政府軍
両者の戦いが激しくなる中、新たな過激派組織がシリアに登場します。

その組織が「イスラム国」です。
イスラム国は元々、イラクを拠点に活動していたスンニ派のイスラム過激派組織です。

イスラム国はテロ活動を中心に、世界的に猛威を奮う過激派組織です。
自ら国家樹立を宣言したりと、やりたい放題の組織。

イスラム国は内戦で混迷を極めるシリアに参戦し、支配地を広げようとします。

 

三つ巴の泥沼戦争

内戦当初はイスラム国と反政府側の利害は一致します。
しかし、イスラム国の横暴を見て、すぐに反政府側とイスラム国は距離を置きます。

反政府側とアサド政権が激戦を繰り広げる中、イスラム国は急速に勢力を拡大。
巧みに資金と武器を調達し、外国からも募兵をします。

当時、イスラム国は残虐非道な行為や外国でのテロ活動を進めました。
世界から批判を受けます。

その後、反政府側とイスラム国の間でも戦闘状態に突入。
アサド政権反政府軍イスラム国という三つ巴の泥沼戦争が始まります。

三つ巴の戦いの結果、シリア国内は火の海、瓦礫の山です。
内戦は留まることを知らず、大量の難民を出しました。

 

クルド人勢力の台頭

イスラム国崩壊後

イスラム国は欧米諸国、ロシアを敵に回し、集中砲火を受けます。
アサド政権と反アサド政権は一先ず、イスラム国叩きで一致します。

各方面を敵に回したイスラム国は崩壊の一途をたどります。

イスラム国の建国を謳ったイスラム国。
彼らがシリアにもたらしたのは凄惨な傷跡だけでした。

 

クルド人勢力

イスラム国壊滅に追い込んだのはロシアとアメリカです。
特にロシアが旗振り役となり、イスラム国を殲滅しました。

イスラム国との戦闘ではクルド人勢力も奮戦しました。
米露が互いににらみ合う局面ではクルド人勢力が主にイスラム国の掃討にあたります。

クルド人勢力はシリアを故郷としている人も多いです。
そのため、故郷を汚すイスラム国への士気は高く大きな武功を上げます。

 

クルドの国建国へ

クルド人がイスラム国と戦うのは「クルドの国を創りたい」思惑がありました。

トルコ、シリア、イラクにまたがるクルド人。
彼らの念願は自分たちの国をもつことです。

イスラム国が台頭し、シリアが混沌としたことでクルド人は建国の機会を得ます。

シリアの政権対立を横目に新たに自治区を築き上げました。
ロジャヴァと呼ばれる新たな自治区はシリアで一定の力を持ちます。

クルド人の建国に対してトルコは猛反発。
クルドとトルコは敵対し合い、シリアにて火花を散らしています。

 

トルコによるクルド侵攻

2019年10月にシリア情勢が変化を遂げます。
トルコ軍はこれまでクルドと戦う反政府軍を支援するに留まっていました。

今回のトルコ軍の作戦展開は支援から侵攻に変わります。
トルコ軍はシリア北西部からクルド人勢力下へ侵攻始めます。

トルコのクルド人への怒りは相当でクルドの一般人を処刑するなど強硬的。

 

アメリカの抑止

クルド勢力がシリアにおける対アサドへの布石とするアメリカ。
アメリカはトルコ軍の侵攻に強い反発を見せます。

経済制裁をちらつかせトルコに自重を促します。
トルコはアメリカの抑止を振り切りクルドへ侵攻。

国際世論からの非難は避けられないでしょう。

 

シリア内戦のその他問題

アサド政権の化学兵器使用

イスラム国崩壊後のシリアでは、引き続きロシアはアサド政権を支持します。
アメリカは反政府軍を支持します。

イスラム国の崩壊によって、米露の対立構図が表向きなものへと近づきます。
シリア内戦の懸念は、イスラム国から米露の対立へとシフトしていきます。

2017年4月4日、アサド政権はシリア北西部の街に爆撃。
爆撃の際、サリンなどの化学兵器を使用しました。

アサド政権の爆撃による被害者の大半は女性や子供。
化学兵器による被害者の映像が衝撃を与えます。

アサド政権の化学兵器使用を受けて、アメリカ軍は動きます。

アメリカはシリアの空軍基地に空爆をしかけます。

アサド政権のバックにはロシアがついています。
ロシアの影響により、アメリカ軍のアサド政権への攻撃は限定的でした。

 

アメリカ軍のシリア駐留

トランプ大統領は就任当初から、在シリア米軍の撤退を示唆。
トランプ氏はシリアでの勢力争いには消極的です。

トランプ氏は代理戦争に介入するより、自国の経済発展に注力したいのです。

しかし、米軍が撤退すれば、ロシアによるシリアの実質的支配が遂行されます
イスラム国から取り返した、反政府軍側の領土をロシアに明け渡すことになります。

アメリカの国家安全保障チームは、トランプ大統領を全力で説得。
利権を手放そうとする大統領を説得して、米軍のシリア駐留を決断させます。

 

大義を得る

イスラム国崩壊によって、米軍がシリアに駐留するための大義はありません。
頭を悩ませるアメリカ軍の前にある報せが飛び込みます。

それが「アサド政権の化学兵器使用という情報」です。
「国際的に禁止されている化学兵器を使用した国民に被害を与えた」という大義名分でアメリカは再びシリアへ介入します。

米軍撤退

2018年の暮れにかけて、米軍のシリア撤退が表明されました。
トランプ氏は「ISの掃討が完了した」と米軍の撤退を表明。

トランプ氏はロジャヴァを叩きたいトルコ政府に配慮した形。
トルコはクルド人への攻撃を全面化したい思惑があります。

そのためには米軍の存在が邪魔でした。

米軍撤退により、アメリカのシリアへの直接介入は一旦止まりました。
ただ、水面下での反政権勢力への支援は変わりません。

アメリカの代理勢力はシリアに存在して、戦闘を続行します。

 

今後のシリア

米露ともに、シリアにおいて、世界大戦を始める気はありません。
とはいえ、双方、シリアを手放す気もありません。

クルド人勢力が台頭して、更にシリア内部は混乱しています。

アメリカは「化学兵器使用」という大義を盾に、今後もシリアへ介入する可能性はあります。
ロシアも引き続きアサド政権を陰で操る姿勢は変わらないでしょう。
(近頃ロシアは全面露出していますが)

つまり、シリアでは今後も米露によるギリギリのチキンレースが展開されます。
そして、その犠牲を被るのはシリア国民でしょう。

背景にあるのは、統治主義的な東側と民主主義的な西側という、世界大戦後の変わらない悪しき世界構造が続くのでした。

 

まとめ

シリア勢力図

 

シリアという国を舞台に、各国と宗教の思惑が凝縮されています。

中東情勢を思い通りにしたいアメリカ、それを阻むロシア。
自らの宗派を広げたい、サウジアラビアとイラン。
未だに民族闘争が続くトルコとクルド。

これだけのしがらみがあれば、簡単に内戦が終わらないことが理解できます。
「どの勢力が正義で、どの勢力が悪者なのか」という一義的な話ではありません。

アラブの春が国際的な渦をなして、未だに多くの犠牲を生んでいます。

「独裁政権のままの社会」と「民主的に移り変わる社会」のどちらが、正義であるかの結論は出ません。
ただ、民主化を起こすのに必要な犠牲として、シリア内戦が語られてはいけいないには事実。

 

日本も対岸の火事ではない

シリア内戦は馴染みのない国の出来事です。
日本人が日常生活からシリア内戦を意識する場面はありません。

ですが、日本も対岸の火事ではないことを最後に述べます。

朝鮮半島を仮想シリアだと、中国やロシアは北朝鮮を支持します。
アメリカや日本は韓国を支持する流れになるでしょう。

北朝鮮の核兵器実験は、アサド政権の化学兵器攻撃に重複します。

かつては、中東でも平和的でバックパッカーの聖地ともされたシリアです。
その美しい街並みがあっという間に瓦礫の山となりました。

朝鮮半島において、対立が激化すれば、日本も戦乱の渦に巻き込まれるのは必至です。
「個人レベルでああしろ、こうしろ」というのは難しいですが、安全保障の重大事項としてシリア内戦の行く末には注視する必要があります。

 

結論

戦後の変わらぬ構図です。
日本で暮らしている社会通念では、シリア内戦の内情は見えまえんね。

一先ず、イスラム国が衰退したのは好材料です。
ですが、軍事衝突は未だに収まる気配はありません。

イスラム圏への理解が必要です。
個人的には、アメリカはシリアを取れないとみます。

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