【中東情勢】「イエメン」泥沼イエメン内戦が継続中

泥沼化する「イエメン内戦」。
イエメンはシリアと同じく中東情勢の不安定化を体現する国家の1つです。

イエメンはアラビア半島の南端部に位置。
北にサウジと隣接しており現在、交戦中です。

アラビア半島で唯一の「共和制」国家ですが、国家機能は維持できていません。
今回はイエメンとイエメン内戦を解説していきます。

まずは「イエメン」を学ぶ

イエメンの成り立ち

まずは「イエメン内戦」をより理解するために「イエメン」がどのような国か?を学びましょう。

国家起源は古いです。
紀元前からアラブ南端に王国を構えていました。

エチオビア、オスマン帝国、エジプト、イギリスなどから支配を受けます。
多様な大陸からの支配、特にアフリカ大陸からの影響を受けています。

現在の国家体制はオスマン帝国の滅亡から端を発します。
その後、イエメン王国が独立、サウジアラビアの併合、イエメン南北独立を経て、1990年に現在の「イエメン共和国」が成立します。

イエメン 諸データ

周辺のアラブ諸国に比べて、著しく低いGDPが低いのが特徴。
石油、LNGを主な輸出資源としますが経済的には貧弱です。

豊かなオイルマネーを誇る中東諸国とは毛色が違います。

人口は増大して2,800万人を突破。
現在は内戦中のため大きな変動があると思われます。

イエメンの首都は「サナア」。
サナアは世界最古の町の1つとして歴史的背景があります。
勿論、サナアの制圧はイエメン内戦において大きな鍵を握ります。

イエメンの文化はイスラム文化です。
アフリカ大陸と近いことから独自のイスラム文化が作られています。

 

イエメンの宗教

イエメン国民のほぼ全てがイスラム教徒です。
スンニ派が50%強、シーア派が40%程。

スンニ・シーアの派閥では中東で最も拮抗している国です。
そのため、宗教対立の構造を生みやすい背景が存在します。

シーア派はザイド派と呼ばれるスンニ派に近い教義を持ちます。
十二イマーム派(強いシーア路線)も一定数が存在しています。

スンニ派とシーア派の派閥争いがイエメン内戦を長引かせる一因。

 

イエメンの政治

イエメンはアラビア諸国で唯一の共和制、立憲主義国家。

他のアラブ国家に比べて、国民の政治関心は高いです。
輸出資源の乏しさ、財政的脆弱性が、政治への関心を高めています。

民主化への動きは強く、言論の自由もアラビア諸国においては緩和的。
女性の参政権も認められています。

 

政治の動乱

共和制で民主化への機運の高いイエメン。
実質は大統領権限が強く、独裁気質です。

永らく、サーレハ大統領が独裁的に政治を進めていました。
共和制と君主制の狭間に揺れるため、社会は不安定。

中東におけるアラブの春以降、デモ行進が続き、サーレハ大統領は退陣。
そこから、政権を巡る内戦へと突入しています。

 

イエメンの外交

内戦において各国の思惑が交錯するイエメン外交。
従来路線では湾岸協力理事会(GCC)加盟国との協調路線です。

隣接する大国サウジから経済支援を受けています。
他のGCCと強調して、2017年にカタール断行を表明。

一方で国内を二分する勢力のフーシ派はサウジに向け戦闘状態。
イエメン北方の国境ではサウジと戦闘が続いてます。

 

イエメン内戦の構造

4つの勢力による泥沼化

イエメンでは2015年から内戦状態が続いてます。
外務省が発表する危険度マップでは全土でレベル4の退避勧告。

国際的な注目度の高いシリア内戦とは異なり、イエメン内戦は日本ではほとんど報道されません。
イエメン内戦の現状はかなり厳しく悲惨な状況です。

構造は「ハーディ政権」・「南部暫定評議会」・「フーシ派」・「アルカーイダ」と勢力が乱立。
各々の勢力が敵対しており、収集がつかない状態です。

まずは1つずつの勢力を分析していきましょう。

 

イメージ内戦 諸勢力確認

ハーディー政権

ハーディーは第2代イエメン大統領です。
ザイド派の民兵組織フーシ派に政権を追放されました。

現在、イエメン南部、東部を中心に勢力を回復し、フーシ派を打倒しようとしています。
主に中東スンニ派諸国(サウジ)からの支援を受けています。

 

南部暫定評議会

イエメンからの独立を訴えるイエメン南部を拠点とする勢力。

従来はフーシ派と敵対していました。
現在は、ハーディー政権とも敵対しており内戦は混乱化。

UAEから色濃く支援を受けています。

 

フーシ派

シーア派であるザイド派で構成される組織です。
ハーディーから政権を奪い、イエメンを内戦化させました。

イエメンの首都サナアを抑え、隣国のサウジとも交戦しています。
同じくシーア派であるイランから全面的な支援を受けています。

 

アルカイーダ

未曾有の内戦下でアルカイーダが猛威を振るいます。
アラビア半島のアルカーイダ勢力がイエメンへ集結して活動。

内戦で疲弊した地域を支配化に入れています。

 

イエメン内戦の推移

フェーズ1 ハーディ政権とフーシ派

イエメン内戦はフーシ派のクーデターにより勃発します。
フーシ派はイスラム教シーア派です。

フーシ派は2015年イエメン南部の湾岸都市アデンへ進撃を開始。
ハーディー大統領を追放して、イエメンの政権を奪取します。

スンニ派を代表するサウジはハーディー大統領を支援。
フーシ派が支配するイエメン領域へ空爆を開始します。

フーシ派はシーア派を代表するイランの支援により反撃。

スンニ派とシーア派の宗教対立へ発展します。

 

ハーディー政権の反撃

ハーディー氏は命からがらイエメンから脱出。
サウジを代表とするスンニ諸国の支援を受けて、シーア派へ反撃。

第二の都市であるアデンをフーシ派から奪還します。
ハーディー政権はイエメンの南部地方を回復しハーディー氏はイエメンへ帰還します。

 

フェーズ2 アルカーイダと南部暫定評議会の登場

ハーディ政権とフーシ派による対立。
そこへイスラム教の宗派対立が加わり内戦は大きくなります。

内戦が深刻化すると疲弊した土地に過激派組織が根づきます。
アラビア半島のアルカーイダ勢力がイエメンへ集結して、内戦へ参戦。

アルカーイダは両陣営の戦力が薄いところから支配地を広げます。

 

南部暫定評議会

ハーディ政権では、南部暫定評議会が分派し発足。
スンニ派勢力の分裂により内戦が一層と複雑化します。

フーシ派も後ろ盾であったイエメン初代大統領のサーレイと対立しゴタゴタ。

勢力争いも過激化していきます。
空爆で子供を含む大量の犠牲者が発生するなど内戦は泥沼へ。

特にフーシ派とサウジという国家間の戦いが熾烈なものへ。
互いに国境を越えて、ミサイルやドローン攻撃で武力衝突が起きます。

2018年の末にようやく国連主導による一時的な停戦が進みます。
捕虜の交換など内戦終結へ関係回復を試みますが思い通りにはいきません。

それぞれの主張をまとめることは出来ずにイエメン内戦は第3フェーズへ突入します。

 

フェーズ3 止まぬテロ行為と内戦の連鎖

停戦が結ばれるイエメンですがフーシ派とサウジの争い。
ハーディー政権と南部暫定評議会の衝突は起きています。

2019年9月にはサウジ国営企業の「サウジアラムコ」の石油施設2カ所が攻撃を受けました。
フーシ派がすかさず犯行声明を上げ、イランの関与も取り沙汰されています。

イランのフーシ派支援は今後も続くと思われます。

一方で、スンニ派陣営のハーディー政権と南部暫定評議会も衝突しています。
南部の第二都市であるアデンでの武力衝突を評議会側が勝利して占拠しました。

ここにアルカーイダの過激派が絡むといつ内戦が再開してもおかしくありません。
平和へ予断を許さない状況が今なお続いています。

 

結論

「スンニ・シーア」、「サウジ・イラン」、「米露」という対立がイエメンにもあります。
サウジと国境を隣接するフーシ派は激しい戦闘を繰り広げています。

イエメンでは国内難民、子供の栄養失調、イスラム過激派のテロ行為と多くの問題を抱えます。
現在内戦は停戦していますが、薄氷を踏むものです。

どのような展開が待っているかわかりませんが、被害が拡大しないことを祈りましょう。

 

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